雨と‥ライブ

深夜の運転 目の前で忙しく雨を退けるワイパーが、必死に涙をこぼすまいとする自分のようで、ひどく情けなくなった。

昔アニメで、この試合に出たら肩を壊して、期待されたプロ入りが断たれるのに、周りの反対を押しのけて登板するピッチャーにどうしても感情移入できなかった。
何試合もある中のそこさえ我慢すれば、夢みたステージに立てるのに、そこの無理なんて無駄じゃないか。ずっと思っていた。

バンドを始めて、1つのライブがいくつもあるうちの1つ ではないということを学んだ。
そのライブはその1回しかない。いかに企画名が同じでも、メンツが同じでも、喉がおかしかろうが、その日はその日だけだ。そこにはその日を作った人の想いや、予定を空けて観に来てくれた人それぞれの日々が詰まっている。ライブはいつだって1回きりだ。

喉の調子が悪くても、変な発声でもがっかりさせたくない。下北沢は痛む喉にそんな気持ちで、このライブだけはなんとかもってくれ、無理矢理に喉を締めて歌った。案の定ライブ終わりに見事に喉を潰してしまった。自己管理不足が情けなくて出番後に町の隅でうずくまった。ギリギリで出て、ギリギリで歌い切って、そんなの褒められたものではない。もっとやれた。きっとやれた。

運転席で運転するぼくを、他の車が追い抜かしていく。待ってくれ、置いていかないでくれ。

散々反省とやれたことが鬩ぎ合う車内で、ポップな音楽だけが居心地が悪そうで。アンケートの「これからもがんばってください!」の文字が滲んだ。

家に着くと雨は止んでいた。
またここからやっていくしかない。

Aメロにもならない

あか Mez-zo-forute gtvo

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